JT将棋日本シリーズ福岡大会、羽生名人対深浦王位。 対局を終え、敗れた羽生名人が先に対局場を降りた。
両棋士には、解説者とともに対局を振り返るために、 解説用の大盤まで移動していただく。 司会者の私は、一応、移動場所について声をかけた。 客席から見やすいように、立ち位置も決まっているのだ。 そこにはビニールテープで線を引いている。
ところが、羽生名人の様子がすこしおかしい。 目は虚ろで、足元もおぼつかない。 心が将棋の世界から戻ってきていないようだった。 「はい、分かりました」と言って、羽生名人はふらふらと、 ビニールテープを踏み越えて、なんと、大盤を塞ぐように真前まで進んでしまったのだ。こんなことはあり得ない。 羽生名人ともなると、19年連続出場しているので、 いつも言わなくてもご自分で動いてくださるのに…。
深浦王位との対戦成績はこれで、羽生24勝、深浦23勝。
無敵と思われがちな羽生名人の最大のライバルは、 今、深浦王位なのだ。
2年連続で王位戦でフルセット闘った二人。 この8日前、深浦王位が激戦を制し防衛したばかりだった。
互角の力がぶつかり合った時、 魂までも燃え尽きるような状態になるのか。
羽生名人は、逆に勝ちを意識した時には、手が震えるそうだ。 |
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